肺胞蛋白症 PAP
pulmonary alveoar proteinosis
#呼吸器
【病態】
肺胞腔内にサーファクタント蛋白(PAS染色陽性、無細胞性の粒状物質)が異常貯留する疾患。
(自己免疫性PAP)抗GM-CSF抗体の産生→肺胞マクロファージの機能異常→サーファクタントの異常貯留→拘束性換気障害拡散能低下
(続発性PAP)珪素・グラスウールなどの吸入、白血病、MDS、悪性リンパ腫、ニューモシスチス肺炎などに併発
自己免疫性(90%)、先天性(1%以下)、続発性(9%)、未分類
成人発症の多くは自己免疫性
【だれ】
30-50代男性(自己免疫性)20-30%において自然軽快
【症状】
労作時の息切れ
乾性咳嗽
※ときに無症状(30%)
聴診で捻髪音 fine crackles
【検査】
➀血液:LDH↑、KL-6↑、SP-A↑、SP-D↑、(自己免疫性)抗GM-CSF抗体(+)、しばしばCEA上昇
②呼吸機能検査:拘束性換気障害(%VC↓)、DLco↓
③胸部画像所見
CXR:両側中下肺野優位・肺門部中心のすりガラス陰影、びまん性の浸潤影。正常部分ときれいに境界される。CPAに病変が少ない
胸部CT:crazy-paving apperance/メロン皮状の網目陰影=低区域性に広がるガラス影と小葉間隔壁の肥厚
④気管支肺胞洗浄 BALF:白濁した洗浄液(米のとぎ汁、ミルク状)。肺胞腔内に充満している物質は、飽和型ホスファチジルコリンが主体で、SP-A、SP-Dも増加
組織学的にがPAS陽性物質が肺胞内に充満。小葉間隔壁は軽度肥厚。
【診断】特徴的なBAL所見と、肺生検で定義にある特徴的な組織所見を証明
【治療】
自覚症状がなければ経過観察
重症例では肺胞洗浄(生理食塩水)。進行例:気管支鏡下肺洗浄。重症例:全身麻酔下(片肺)前肺洗浄
※ステロイドは無効。易感染性を招くため禁忌
自己免疫性に対してGM-CSFの吸入や皮下注射が試みられている